TOEFL ITPリスニングはすぐにスコアが上がるセクションではありませんが、正しい方法で学習を積み重ねれば、確実にスコアが上がります。
この記事では、TOEFL ITPリスニングの出題形式、出題傾向&対策について詳しく見ていきましょう。
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1. TOEFL ITPリスニング(Section 1)の出題形式は?
パート | 問題形式 (マークシート、問題冊子には4つの選択肢のみ印刷、最適な選択肢を選ぶ) |
問題数 | 解答時間 | 最低点 | 最高点 |
Part A | 短い会話を聞き、その内容についての設問に答える | 30の会話 x 1問 | 約15分 | 31 | 68 |
Part B | 長めの会話を聞き、その内容についての設問に答える | 2題x4問(8問前後) [3問のこともあり] |
約7分 | ||
Part C | 大学の講義や学術的なトークなどを聞き、その内容についての設問に答える | 3題x4問(12問前後) [3問または5問のこともあり] |
約12分 | ||
50問 | 約35分 | 31 | 68 |
2. TOEFL ITPリスニングではどんなトピックが出題されるの?
- 環境(天気・天候・自然など)
- 食べ物(種類やレストランなど)
- 娯楽(スポーツ、コンサート、演劇、読書、展覧会、パーティなど)
- 週末や長期休暇の過ごし方
- キャンパス内外でのバイト
- 購買・支払い
- 授業: 授業の時間割、受講条件、図書館に設置の参考文献、課題(レポート、論文、プレゼンテーションなど)、フィールドトリップ、授業の復習やテスト勉強、学業に関する相談など
- 事務手続き: 履修登録、留学、インターンシップ、寮など
- アクティビティ:クラブ活動、委員会、交流会、イベントなど
TOEFL ITPのリスニング Part Cでは、リーディングセクションと同様に、大学の一般教養科目で履修するような学術的なトピック(Academic Topics)が出題されます。
- 芸術: 美術、演劇、舞踊、音楽、映画など
- 人文科学: 歴史、政治学、哲学、法律など
- 社会科学: 人類学、社会学、教育、地理、考古学、心理学、経済学、ビジネスなど
- 生命科学: 古生物学、生物学、生化学、動物行動学、生態学、解剖学、生理学、遺伝学、農学など
- 自然科学: 地質学、天文学、化学、物理学、気象学、海洋学など
TOEFL ITPで高得点を狙うには、語彙を覚えるときには音声も一緒に覚えるようにして、聞いて理解できるアカデミック語彙を増やしましょう。
Part Bはできるけど、Part Cのスコアがなかなか伸びない人は、リーディング力の養成に力を注ぎましょう。(Part Cとリーディングは同じテーマを扱っています。)
【TOEFL ITPリスニング特化型教材の1冊目におすすめの問題集】 パターン別の注目ポイントの解説がとてもわかりやすいです。
3. TOEFL ITPリスニングの攻略手順
TOEFL ITPリスニングの問題は、「500点の人は確実に解けるけど、450点の人は解ける人もいれば解けない人もいる」というような構成で作成されています。
ここでは、500点を目指す人を例に取り、リスニング攻略手順を見ていきたいと思います。
Part A(短い会話)の1番から19番の問題の正解率を上げましょう。
それと同時に、頻出の口語表現やイディオムを学びましょう。
口語表現やイディオムに関する問題は、50問中7-10問ほど出題されます。
知っていれば確実に正解できる問題ですし、会話でよく使う役に立つ表現ですので、積極的に使ってみてくださいね。
19番までの問題ができるようになってきたら、20番以降の問題の正解率が上がるように頑張りましょう。
リスニングの問題構成として、20番くらいから会話の内容や選択肢の難易度が高くなります。
仮定法や思い込み、こなれた口語表現など、確実に理解できる会話の種類を徐々に増やしていきましょう。
Part Bのキャンパスライフのトピックに慣れましょう。
長い英語を聞くことに慣れていない人は、1分前後の会話でも意識が飛んでしまうようです。
テスト勉強だけでなく、普段のリスニングの量も増やして、耳に体力を付けましょう。
(話の流れを捉えるのが得意な人は、ストーリー性のあるPart Bの会話が得意だったりもします。)
Part Bの学業に関する会話とPart Cの大学の講義の正解率を上げましょう。
ここでは、アカデミック語彙が決め手になります。
見てわかるだけでなく、聞いてわかるような訓練も取り入れてください。
選択肢を素早く読み、正確に意味が理解できるようになると、リスニングに余裕が出ます。
速読練習におすすめの教材は、TOEFL ITPリーディング対策 - おすすめの問題集・参考書は?の記事で紹介しています。
500点以上の人は、各Partの弱点分析と補強を集中的に行いつつ、身の回りに英語環境を作り、とにかく大量の英語に囲まれて生活してくださいね。
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4. TOEFL ITP リスニング Part Aを極めよう!解法編
4.1 Part Aの会話パターン
4.2 Part Aの解き方
1つの会話につき、1つの質問が1回のみ読まれます。
問題冊子には4つの選択肢のみ印刷されています。(質問は印刷されていません。)
- 選択肢を先読みし、会話の話題や質問内容を予測します。
- 第2話者の発言を特に注意して聞きます。(大半の質問は第2者の発言内容についてです。)
- 4つの選択肢から質問に対する答えを選び、マークシートのA, B, CまたはDを塗ります。
- 次の会話が始まるまでの時間(解答用ポーズは約12秒)を使って、次の問題の選択肢を読み、話題や質問内容を予測します。
4.3 Part Aの質問内容と質問の例
Part Aでは大学生活について2人の話者が短い会話をします。
Part Aは、留学生が言語面で円滑なキャンパスライフが送れるかどうかを評価しているのだと思います。
Part Aでは、発言内容だけでなく、声のトーンやイントネーションにも注意を払いましょう。
発言内容の意味
- What does the man mean?
言外の意味(implications)
話者の間接的なメッセージから、話者が何を言おうとしているのか、真意を汲み取ります。
- What does the man mean?
- What does the man imply?
- What does the woman imply the man should do?
- What can be inferred about the woman?
- What can be inferred from the conversation?
例:「今日、Mama Miaにイタリア料理を食べに行こうよ。」「昨日の夜、友達とそこへ行ったのよ。」
言外の意味は「Mama Miaじゃなくて、他のレストランがいい」とか「イタリア料理ではない方がいい」とかになります。
予測(predictions)
会話の内容を元に、近い将来どうするのかを予測します。
- What will the woman probably do next?
- What are the speakers going to do tomorrow?
- What are the speakers planning to do?
提案
- What does the man mean?
- What does the woman suggest?
- What does the woman suggest the man do?
- What does the woman think the man should do?
- What does the woman advise the man to do?
Why don't you ~?, How about ~?などの提案・アドバイスの頻出表現を覚えましょう。
思い込み
- What had the man assumed?(何と思っていたのでしょうか。)
例:第2話者が驚いたような口調で「じゃあ、パーティーに行ったんだ!」と言うと、「パーティーに行かないと思っていた」という答えになります。
問題
- What is the man's problem?
その他
- What are the speakers talking about? (会話の話題)
- Where does this conversation probably take place?(例:指輪を買う話だと、会話の場所は宝石店)
- What are the speakers doing?
- What does the man want to do?
- What does the man warn the woman about?
5. TOEFL ITPリスニング Part Aを極めよう! 表現・文法編
TOEFLテストでは、Listeningだけでなく、Readingでも言い換えが多用されます。
特に、選択肢の作り方が日本の英語試験とは違うので、TOEFLの言い換えのパターンに慣れることも大切です。
会話の鍵になる単語や表現を、選択肢で言い換えています。
- キーワードやイディオムの同義語(例:turn in=submit)
- 会話文で否定形の表現→選択肢で肯定形
- 二重否定→肯定
- 能動態⇔受動態(Aさんの立場から物事を見る場合とBさんの立場から物事を見る場合の視点の違い) などがよく使われます。
表現の言い換えで頻出するのが、イディオム・句動詞・口語表現です。
Part Aではイディオム・句動詞・こなれた口語表現がよく使われます。
出題頻度が高く、知っていればできますから、役に立つ表現に出会ったらメモをしておき、自分でも使える表現を増やしてくださいね。
イディオムpull someone's leg = tease or joke (からかう)の意味です。「足を引っ張る」ではありません。
句動詞 put up with = tolerate
会話表現 Don't bother. = You don't need to do something for me. Don't even try or think about trying.
【TOEFL ITPボキャブラリー対策におすすめの単語本】
この単語本1冊で、「TOEFLに頻出の基本語彙」「分野別アカデミック語彙」「リスニング頻出トピック語彙」「リスニング Part Aによく出るイディオム」が覚えられます。
特におすすめなのが、
1)TOEFLに頻出の基本語彙がTOEFLによく出るタイプの例文の中で覚えられること
2)TOEFL語彙問題の対策に欠かせない類義語・派生語・反意語も覚えられること
3)アカデミック語彙セクションでは、各分野に100語前後の文章があり、リスニングやリーディングも補強もできること
4)CD付きなので、覚えた単語の音声を繰り返し聞くことで定着が図れる&リスニングも強化できること です。
否定: not open = closed
二重否定: not unhappy = happy
弱い否定語: barely, hardly, scarcely(ほとんど~でない、ほとんど~しない) rarely, seldom(めったに~しない)
同意表現
You can say that again!
I'll say!
Aren't they though!
So do I. など
反対表現
I don't, either.
Nor do I.
Neither do I. など
日本の学校ではあまり教えない表現も使われます。参考書や問題集から知らない表現をリストアップしましょう。
次は、知っておくといい文法項目をいくつかリストアップします。
- 使役動詞:get 人 to do, have 人 do, make 人 do, let 人 do, help 人 (to) do
- 助動詞:have to, need to, should, had better, would rather など
- 比較:not as ~ as = less ~ than / the 比較級, the 比較 など
- 条件・仮定法・wish
- 付加疑問文 (~, don't you? / ~, isn't he? など)
6. TOEFL ITPリスニング Part Aを極めよう! 音声編
- 似た音 (例:fill - feel, bitter-better)
- 音が同じで意味が違う(例:sole - soul / mean 意味する- mean 意地悪な)
- 多義語(例:right 右(の)・正しい・適切な / letter 文字・手紙)
紛らわしい音が正確に聞き取れるようになる訓練には、Dictationをおすすめします。
【リスニング初心者におすすめの教材】 大人が英語リスニング力を鍛えるには、リスニングのルールを知ることから始めるのが一番です。 基礎編では、日本人には聞き取りが難しい音の変化や特徴を学びます。 実践編では、シーン別の頻出フレーズを聞き取る訓練を行います。
この音とこの音がつながると、こんな風に聞こえるんだという知識があると、聞こえ方が違ってきます。
聞き取りのポイントと短い例文を何度も繰り返し聞き、口に出して言う練習をしましょう。
7. TOEFL ITPリスニング Part Bの出題形式&出題傾向と対策
7.1 Part B 長い会話の特徴
Part Bでは、長い会話を2つ聞きます。(Part Aよりも1人の話者が話す量が増えますが、Part Aの延長線上にあります。)
1つの会話につき、2人の話者が45秒~90秒ほど、下記のような大学生活に関連したトピックについて話をします。
・授業の時間割などの学業や履修登録などの事務手続きに関する学生と大学職員との会話 (丁寧な口調)
・学業に関する学生と教授との会話 (丁寧な口調)
リスニング対策本やTOEFL語彙本などを活用して、キャンパスライフ(授業・事務手続き・アクティビティなど)&学業関連の語彙を覚えましょう。
7.2 Part Bの解き方
1つの会話につき、3~4問(8問前後)の設問があります。
Part Aの質問と同様の質問も多数あります。ここでは、Part Bの質問をいくつか紹介します。
- What are the students doing?
- What are the students mainly discussing?
- What is the conversation mainly about?
- Where are the students getting their information about ~?
- 詳細情報について問う、5W1Hの疑問詞で始まる質問
- What will the speakers probably do next? など
Part Aとの違いは、会話が始まる前に、
"Listen to two students talk about eating at the school cafeteria."や”Listen to a conversation about ~."など、
テーマとメイントピックが言われますので、最初から集中して聞きましょう。
Part Bの解き方は、基本的にPart Aと同じです。
大半の会話では、1番目の質問から順番に、会話の流れに合わせて答えられるようになっています。
- 選択肢を先読みし、トピックや聞き取りのポイントを予測します。(的を絞った聞き方ができますので、省エネリスニングができます。)
- 会話の趣旨・要点・話の流れを理解しつつ、選択肢から予測した情報を聞き取りましょう。
- それぞれの質問に対し、4つの選択肢から答えを選び、〇を付けるなど目印を付けておきます。
- マークシートを塗るタイミングは、全ての質問が終わった後、Part Cの説明が流れている間で大丈夫です。
ただし、書き込みが可能になる前はメモは取れませんでしたので、メモを取らなくても十分に答えられる内容です。
どうしてもメモを取りたいときは、数字など覚えにくい情報や、大事な情報のみを書くようにして、エネルギーは聞くことに集中しましょう。
選択肢を読みながら会話を聞くと、意識が分散して、聞くことに集中できない人もいます。
TOEFL ITPリスニング対策を「がっつり」やりたい人におすすめの問題集
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この本一冊で、リスニングセクションの学習ががっつりできます。
- リスニングセクションの出題傾向と対策を熟知しましょう。
- 豊富な練習問題(260問)を解いて知識を実践に結び付けましょう。
- さらに、正答率を高めるストラテジーを学び、誤答を減らしましょう。
- 学習の仕上げに実践模試を受けて理解度を確認しつつ、何度も繰り返し学習をすると、この本を使い倒すことができます。
- また、頻出語句や重要語句の解説も豊富なので、語彙を覚えながら学習を進めると語彙力も養成できます。
8. TOEFL ITPリスニング Part Cの出題形式&出題傾向と対策
8.1 Part C 大学の講義や学術的なトークの特徴
Part Cでは、大学の講義や学術的なトークを3つ聞きます。(Part BとReadingの延長線上にあります。)
大学教授やゲストスピーカーが90秒ほど、アメリカの歴史や生物学などの分野で、アカデミックなトピックについて話をします。
8.2 Part Cの解き方
1つの講義やトークにつき、通常4問(3~5問の場合もあり)(12問前後)の設問があります。
- What is the talk mainly about?
- What is the main topic of the talk?
- 詳細情報について問う、5W1Hの疑問詞で始まる質問
- In what class is this lecture probably being given?
- What will the speaker probably discuss next?
- What will the class probably do next? など
Part Bと同様に、講義やトークが始まる前に、
"Listen to a talk about meteorites given in an astronomy class."など、トピックが言われますので、最初から集中して聞きましょう。
Part Cの解き方は、基本的にPart Bと同じです。
通常の問題構成では、1番目の質問から順番に、話の流れに合わせて答えられるようになっています。
- 選択肢を先読みし、トピックや聞き取りのポイントを予測します。(的を絞った聞き方ができますので、省エネリスニングができます。)
- 会話の趣旨・要点・話の流れを理解しつつ、選択肢から予測した情報を聞き取りましょう。
- それぞれの質問に対し、4つの選択肢から答えを選び、〇を付けるなど目印を付けておきます。
- マークシートを塗るタイミングは、全ての質問が終わった後でも大丈夫です。
・リスニングはリーディングと相互作用があります。Part Cとリーディングの両方が苦手な人は、まずアカデミック語彙力とリーディング力を鍛えましょう。
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問題の質がとてもいい総合問題集で、私の学生はこの問題集を使って続々と結果を出しています。
注:問題の解説は必要最小限しかありません。TOEFL470以下&独学での学習には、日本語のTOEFL教材をやった後の仕上げに使う方がいいでしょう。
付属のAudio CD(別売)
Longman Preparation Course for the TOEFL TEST: The Paper Test Audio CDs (7)
9. リスニングの上達の秘訣
リスニングができませんという学生に、「今までどのくらいリスニングの練習をした?」と聞くと、大半の人はほとんどリスニングはやってこなかったと答えます。ピアノの弾き方を解説した本をいくらたくさん読んでもピアノが弾けるようにはならないように、リスニングの練習なしにリスニングは上達しません。
短期間でリスニング力を伸ばした学生さんは、
- キャンパスでも家でも、いつでもどこでも英語を聞いていました。それも同じ音声を何度も何度も繰り返し。
- まとまった時間が取れるときには、Dictationをしていました。
- さらに、聞いた音を真似して、ひとりでブツブツ言っていました。
- もっとすごい人は、何十回と繰り返し言って、リスニング教材の英文を暗唱していました。
リスニングは少し勉強したくらいでは、すぐに結果が出るセクションではありませんが、いつでもどこでも英語を聞いている学生さんは着実に力をつけていきます。受験勉強以外にも、海外ドラマ・洋画・洋楽が好きで、英語をたくさん聞いてきた人はリスニング力が高いです。
身の回りに英語環境を作るのにおすすめなのが、Amazonプライム Prime Videoで洋画や海外ドラマを見て、Prime Musicで洋楽を聞いて、Prime Readingで英語のコミックなど幅広いジャンルの読み物が読める! おまけに、配送料が無料になるので、買い物に行く時間のないときにはネットで注文するだけでOK お得な学生プログラムもあります。
リスニングが苦手だと思う人が優先してやるべきことのひとつに、リスニング量を増やすことがあります。
音楽でも映画でもアニメでも、スポーツの英語中継でも、TEDのプレゼンでも、何でも大丈夫!
好きな分野で、息抜きの時間にも英語を聞くことから始めてみませんか。
ある程度のリスニング力はあるけど、ある一定のところから伸び悩んでいる人は、発音がよくなると、リスニング力も一段上に行きやすくなります。正しい音の出し方を学んで、正しい音で英語を声に出して読むことを試してみてください。
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