TOEFL ITPのスコア最低点31点が続出するのが、リーディングセクションです。
リーディングは「語彙力」と「文法(英文読解力)」を鍛え、正しい読み方で「精読」「速読」の訓練を「大量」にすれば必ず伸びます!
この記事では、TOEFL ITPリーディングの出題形式、出題傾向&対策について詳しく見ていきましょう。
知りたいところから読む!
1. TOEFL ITPリーディング(Section 3)のPassageの難易度は?
難易度の低い英文は、アメリカの高校2年生レベル
通常は、大学1・2年生が一般教養クラスで読む教科書レベルの英語が出題されます。
- 1つのpassageの長さは、たいてい300語前後
- 1文の長さは、長い文だと25語~30語ほど
- 文構造が複雑で、文法の知識を使って精読ができないと意味不明になる難易度の高い文章も多い
- アカデミック語彙数が少ないと、意味不明の単語が多すぎて、内容の想像すらできない
TOEFLの英語はアメリカの大学教養課程の学生が読む教科書レベルなので、日本で普通に英語を勉強した人にはかなり難易度が高いと言えます。
TOEFLリーディングセクションのスコアを上げるには、語彙・文法・リーディング力の強化が欠かせません。
2. どんなトピックが出題されるの?
TOEFL ITPは北米(特にアメリカ)の大学で留学生として授業を履修できるだけの英語力があるかを評価するテストですから、
大学の一般教養科目で履修するような学術的なトピック(Academic Topics)が出題されます。
- 芸術: 美術、演劇、舞踊、音楽、映画など
- 人文科学: 歴史、政治学、哲学、法律など
- 社会科学: 人類学、社会学、教育、地理、考古学、心理学、経済学、ビジネスなど
- 生命科学: 古生物学、生物学、生化学、動物行動学、生態学、解剖学、生理学、遺伝学、農学など
- 自然科学: 地質学、天文学、化学、物理学、気象学、海洋学など
TOEFL ITPのリーディング(Section 3)では、上記のように幅広いトピックの中から、5つのテーマが出題されます。
(リスニングのPart Cでも同様の分野が出題範囲になっています。)
「馴染みのない分野がたくさんある」って感じたかもしれませんね。
でも、大丈夫です。
専門的な知識がなくてもpassageを読めば、設問に答えられるようになっています。
また、専門性の高い単語は定義や意味が書かれています。
TOEFLは英語力判定試験であり、知識の有無を問う試験ではありませんから、安心してください。
重要ポイント芸術・人文科学・社会科学の分野では、特定の国の人に有利にならないように、アメリカ史(先住民族や独立戦争など)や著名なアメリカ人芸術家や政治家の人物史など、アメリカに関する内容が多く出題されます。専門知識がなくても大丈夫ですが、背景知識があると内容をよりよく理解できますし、読むスピードも速くなります。普段の読書でも、アメリカに関する英語をたくさん読むことをおすすめします!
3. TOEFL ITPリーディング の出題形式は?
設問形式 | マークシート方式、4つの選択肢から適切な選択肢を1つ選びます。 |
パッセージの数 | 5つ |
設問数 | 50問(パッセージ1つにつき、10問前後の設問に答えます。) |
解答時間 | 55分 |
4. TOEFL ITPリーディング では、どんなタイプの設問が何問くらい出るの?
リーディングセクションの設問の種類 | 出題数(目安) |
Topic / Main Idea | 4 |
詳細 | 12 |
推測(inferences, implications) | 10 |
語彙 | 12 |
指示語(代名詞など) | 5 |
その他(構成や目的など) | 4 |
4.1 Topic / Main Idea問題の設問例と対策
- What does the passage mainly discuss?
- What is the passage mainly about?
- What is the main topic of the passage?
- Which of the following is the main topic of the passage?
- What is the main idea of the passage?
- What is the main idea of the last paragraph?
- What is the author's main point in the second passage?
- Which of the following is the main point made in the passage about ~?
- パッセージの内容の範囲外(パッセージは江戸時代の話なのに、日本史全般についての選択肢があるイメージ)
- 一般的なまとめではなく、ある特定の内容(詳細や1つのパラグラフのまとめなど)
- パッセージの内容とは違う、間違った情報や真実ではない情報
- パッセージで言及されていない内容(事実としては正しくても、パッセージで述べられていない情報は注意が必要)
1問目に多い設問ですが、すぐに答えられなければ、最後の設問を解いてから戻ってきましょう。
Topicは主題Passageを数語でまとめた内容です。
Main Ideaは要約・最も重要な内容1)トピックセンテンスを見つける、2)各パラグラフで重要な点が異なるときは、それらをまとめた内容です。
このタイプの設問は、skimmingというスキルを使い、パッセージの大事な文のみをサッと読んで概要を捉えます。
4.2 詳細問題の設問例と対策
- 5W1Hで始まる疑問文
- According to the passage, 5W1Hで始まる疑問文
- According to the passage, 文の途中まで記述+残りの情報を選択肢で完成.
- The author mentions ~ as an example of ~.
- Which of the following statements is supported by the passage?
- 本文中にある単語や表現を使ってはいるが、正解ではない情報
- パッセージの内容とは違う、間違った情報や真実ではない情報
- パッセージで言及されていない内容(事実としては正しくても、パッセージで述べられていない情報は注意が必要)
1つのパッセージにつき2~4つの設問(50問中12問程度)が詳細問題です。
詳細問題は特定の情報を見つけて答える問題ですから、
1)設問中のキーワードまたはその言い換え表現を本文中に見つけます。
2)そのキーワードを含む文(答えが見つからなければその前後の文)をしっかり読みましょう。
キーワード文のメッセージを言い換えた選択肢が答えになる傾向があります。
キーワードを探す際に役立つリーディングスキルは、Scanningという読み方です。
TOEFLでは、キーワードの言い換えを本文中や選択肢に見つける問題が頻出します。
TOEFLリーディング対策には、類義語・反意語・派生語も一緒に覚えられる単語本がおすすめです。
TOEFL ITPボキャブラリー対策 - おすすめの単語本は?の記事をぜひ参考にしてください!
「語彙力」に加えて、「英文解釈力」も必要不可欠です。
正答を選ぶには、キーワードやその言い換えが含まれたキーワード文を正確に理解する必要があります。
あいまいな理解では、上手に作られた選択肢に惑わされてしまいます。
この設問タイプはNOTまたはEXCEPTが大文字で目立つように書いています。
- Which of the following is NOT mentioned as ~?
- The passage mentions all of the following as ~ EXCEPT
本文中で言及されていない情報、または本文中の情報と事実関係が異なる情報を選ぶ問題です。
1ヶ所を読んで答えられる設問(比較的易しい設問)
A, B and Cなどのように、3つの項目が列挙されていて、1つだけ言及のない場合は、その箇所だけ読めば答えられます。
本文中に正しい内容が散らばっている設問(難易度の高い問題もあり)
正しい選択肢の根拠が本文中のあちこちに分散して述べられています。
答えの根拠を探すのに時間がかかりすぎるようであれば、事前に決めておいた記号に印を付け、きちんと解ける問題に時間を使いましょう。
4.3 推測問題の設問例と対策
- The passage suggests that ~
- The author implies that ~
- Which of the following can be inferred from the passage concerning ~?
- It can be inferred from the passage that ~ because (理由を選択肢で選ぶ)
- probablyの入った設問
- 本文中の情報から論理的に導き出せない内容
- 本文中の内容とは違う、間違った情報や真実ではない情報
- 本文中にある単語や表現を使ってはいるが、正解ではない情報
- 関連性のない内容やパッセージには書いていない内容
- 一般論
- 誇張しすぎた内容
1つのパッセージにつき2~4つの設問(50問中10問程度)が推測問題です。
推測問題を解くには、
1)設問や選択肢のキーワードを本文中に見つけます。
2)そこで与えられた情報に基づいて論理的推測を行います。
設問には次の3種類があります。
1.キーワードを含む1文を読めば推測できる。
2.キーワードを含むパラグラフを読んで推測する。
3.パッセージ全体の内容から推測する。
推測問題は書き手がはっきりと明示的に述べていない内容に関する設問ですので、一般常識や今までの経験も駆使して、包括的に言外の意味を汲み取る必要があります。
また、難易度の高い問題が多い傾向にありますから、ここで時間を使いすぎないようにしましょう。
難しい問題は飛ばして(わからないときは、Bにするとか、Cにするとか事前に決めておいて)次の設問に行き、時間が余ったら再チャレンジしましょう。
4.4 語彙問題の設問例と対策
1つのパッセージにつき3問前後が語彙問題です。50問中12問以上出題され、詳細問題と同じくらい高い割合で出題されます。
語彙問題の正解率が高い=高得点が出やすいと言えますので、語彙を勉強する際には同義語や反意語、派生語も一緒に覚えるようにしましょう。
重要ポイント 複数の意味を持つ多義語の意味は文脈の中で決まります。単語と選択肢だけを読んで答えを選ばないようにしましょう。
必ず指定の行の単語の位置に選んだ選択肢を入れて、意味が文脈に合うかどうかを確認してください。
そうしないと間違った選択肢を選ぶように、問題が作成されています。
単語の意味がわからないとき、意味を類推するのに役立つヒントがあります。
TOEFL ITPリーディングの語彙問題を解くコツも活用してください。
4.5 指示語問題の設問例と対策
50問中5問ほど出題されます。大半の問題が、代名詞が指す名詞を問う設問です。
代名詞は、前出の名詞の代わりに使われる単語です。
逆から見ると、代名詞が指す名詞は、その代名詞の直前に見つけられる場合が多いということですね。
次の着目点をヒントに、代名詞の前の名詞をひとつずつチェックしてください。
- 数:it, he などの代名詞であれば、単数名詞、they, their, themの代名詞であれば、複数名詞を探す。
- 人・物:その代名詞が指すのは、人なのか、物なのかを確認します。
- 意味:代名詞の位置に選んだ選択肢を入れて、意味が文脈に合うかどうかを確認しましょう。(例:代名詞に1番近い位置にある名詞ではなく、2番目に近い名詞が答えになることもあります。
4.6 その他の問題形式の設問例と対策
第1パラグラフの直前のパラグラフの内容を問う設問(1番目の設問になります。)
- The paragraph preceding this passage most probably discusses
通常は、第1パラグラフの出だしの部分に、直前のパラグラフの内容に関するキーワードがあります。
最後のパラグラフの後に続くパラグラフの内容を問う設問(最後の設問になります。)
- The paragraph following this passage most probably discusses
最後のパラグラフの終わりの部分に、次のパラグラフの内容が書かれている可能性が高いです。
- Where in the passage does the author mention ~?
- Where in the passage does the author discuss ~?
A) Lines 1-3
B) Lines 5-7
C) Lines 13-14
D) Lines 21-22
通常、passageの後半で問われる設問です。
・第xパラグラフ(のどの辺)に書いてあるかがわかれば、行番号を確認して即答します。
・わからなければ、選択肢で指定された行を読みましょう。
比較的出題頻度も高く、難易度が低い問題です。凡ミスをしないようにしましょう。
- For which of the following items does the author give a definition?
- Which of the following phrases is defined in the passage?
下記のヒントをscanningで素早く見つけましょう。
Aが設問で問われている単語やフレーズ、Bはその説明
-
- A or B または A, or B,
- A – B –
- A, that is, B
- A, B (同格), または B (同格), A
- A such as X, Y, and Z (X, Y, ZはAの例)
語彙問題で出題される難しい語句をこの形式で説明する場合もあるため、単語の意味がわからなくてもそこで立ち止まらず、先を読み進めましょう。
パラグラフ構成を問う設問
- The author organizes the discussion of ~ by (選択肢を選ぶ).
選択肢の例:advisory, critical, concerned, explanatory, persuasive, sarcastic
本文やある事柄の目的を問う設問
- What is the purpose of ~?
- The purpose of the passage is to ~
選択肢の例:analyze, classify, compare, criticize, describe, illustrate, persuade, summarize
ある事柄に対する書き手の態度を問う設問
- The author's attitude toward ~ could be best described as ~.
- The tone of the passage could be best described as ~.
選択肢の例:positive, negative, neutral, favorable, unfavorable, humorous
本文中に使われている語彙などから判断します。
どの教科の課題図書かを問う設問
- The passage would probably be assigned reading in which of the following courses?
選択肢の例:Geology, Geography, Geometry, Marine Biology
5. TOEFL ITPリーディング問題を解くコツ
- 英語の知識だけでなく、背景知識や一般常識、今までの経験も駆使して英文を読みましょう。
- 設問はテキストの上から順番に聞いてくる場合が多いので、焦らずに少しずつ上から答えていきましょう。
- 設問中のline(行)を上手に使いましょう。(使い方は後で解説します。)
- キーワードなど重要な情報に印を付けながら読むことができますので、書き込みしながら解きましょう。
(注:Listeningの音声で書き込みをしないようと言いますが、問題冊子に「書き込みが可能」になりました!)
1.各パラグラフの最初の1~2文+最後の文をskimmingし、パラグラフのトピック・概要を捉えましょう。
2.設問1がMain Ideaの場合、このskimmingの後で答えることができます。(最後の問題を解いてからMain Ideaの設問に戻って解くのもありです。)
3.次に、行数のある単語や代名詞に本文中で○を付け、その設問番号を〇を付けた単語の近くに書いておきましょう。
例えば、設問3がline 6、設問6がline 15の場合、
6行目のxという単語に〇を付けて3と書き、15行目のyという単語に〇を付けて6と書いておきます。
4.この下準備をしたら、一番最初の〇の行までで解ける設問のキーワードに線を引きます。
5.設問のキーワード(その言い換え)をscanningで素早く見つけて印を付け、キーワード文をしっかりと読み答えを選びます。(キーワード文に答えが見つからない場合は、前後の文も併せて読みます。)
上の例で言うと、設問3は6行目なので、設問2のキーワードやその類似語は6行目までに見つけられる可能性が高いです。
6.TOEFL ITPの問題構成の性質を利用すると、次の〇は設問6で、設問4と設問5のキーワード(その言い換え表現)は、6行目と15行目の間にあることが通常のパターンですから、設問4と設問5の設問のキーワード(その言い換え)を6行目と15行目の間で素早く見つけ、キーワード文をしっかりと読んで一番適切な選択肢を選びましょう。
7.この手順を繰り返しながら、上から順番に解いていきましょう。
このステップを踏んで練習を積むと、一見難しそうに思えるパッセージでも「大丈夫、ひとつずつ上から解いていけばいいんだ」と、恐怖心が少し和らぐようです。
- Topic / Main Idea、代名詞、難易度が低・中程度の詳細問題やその他の問題を時間内でしっかりと正解できるようになりましょう。
(凡ミスや時間をかければ解ける問題が何問くらいありましたか。) - 語彙問題、推測問題の正解数が増えるように語彙力・読解力を鍛えましょう。
- 問題を解いて〇付けして終わりではなく、得意・不得意な項目の分析、弱点補強など、振り返りをしっかりと行いましょう。
- 時間管理をしながら問題を解く習慣を付けましょう。
6. TOEFL ITPリーディングセクション55分をどう使うのが効率的?
6.1 あなたの得意分野を活かしましょう!
1番目のパッセージから順番に解いていく必要はありません。
問題を解き始める前に、各パッセージの第1パラグラフ冒頭のキーワードに目を通し、何のトピックか把握した後、読みやすいテキストから読み始めましょう。
- 気分よく読み進めることができます。
- 得意分野=わかりやすい分野=正解率も高い(はず)
- 時間が足りなくなっても、難しいパッセージが残っているだけなので、全部BかCにマークしてもダメージが少ないでしょう。
次の日、高校時代に理系だった学生が、あの問題は内容がわかりやすかったので5分で解いたと教えてくれました。
それは、私が試験監督をした教室で大半の受験生が15~20分もかけて解いたパッセージです。
5つのパッセージの1つを解くのに、大半の学生が制限時間の3分の1近くを使っていた一方で、
背景知識を使って通常11分ほどで解く問題を5分で解いた学生がいた事実に目を覚まされました。
自分で解く順番を決められるセクションは、得意なテーマから解くことが大事だと。
6.2 作戦を立てましょう!
あくまでも1案ですが、あなたの作成を立てる際の参考に使ってください。
ゆっくり読んだほうが正解率が高い場合
- 5つのパッセージ中、3~4つをしっかり解きます。
- 残りのパッセージ(あなたにとって読みにくそうな内容)は語彙・代名詞をまず解き、時間の許す範囲でMain Ideaや詳細問題を解きましょう。
- 最後の数分を使って、答えられなかった問題にマークを付けましょう。(最初に決めておいた記号を塗ります。)
高得点を狙う場合
5つのパッセージの大半の質問に根拠を持って答える必要があります。
このレベルになると、パッセージの内容を全部きれいに理解できないと嫌な人もいます。
しっかり読む箇所とサッと読む箇所の読み方を変え、メリハリのある読み方を心がけましょう。
5つのパッセージを55分の制限時間内に全て解くことになりますから、練習でも時間を計って、1パッセージ10分前後で解く訓練をしましょう。
そして、凡ミスをできる限りゼロに近づけましょう。
重要ポイント(読む数)
1つのパッセージにつき約11分のペースで、5つのパッセージを解き切るかどうかは、解答にかけた時間と正解率の兼ね合いで決めてください。
重要ポイント(持ち物)
マークシートでシャーペンを使うのは不利なんです。
マークシート用 鉛筆ならスムーズにマークでき、考える時間が増えます!- また、時計のない試験会場では、時計を忘れないようにしましょう。
英語はやれば必ずできるようになります!
1日も早く、英語を読むことが楽しいと感じる日が来ますように!